【本】息吹(テッド・チャン)

何ヶ月か前のKindle本セールで買って寝かせてあったこの本をついに読む時がきた…! と思って読み始めたのは良いのだけど、読んでも読んでもKindleのホームに表示される「○○%」の数字が増えなくて一時はどうしようかと思った。実物の本だと何ページぐらいあるんだろう? きっと重い本に違いない。

今までSF作品といえば「夏への扉」とか「ニューロマンサー」ぐらいしか読んだことがなかったのだけど、テッド・チャンという人の書く世界は設定が緻密で、数学っぽい話が多くて少し宗教的な感じがするように思える。例えば「不安は自由のめまい」という作品では量子力学の考え方が元ネタ?になっているようで、最初はその設定を理解するのに少し苦戦した。

とは言ってもやはり主役は人間で、登場人物が未知の問題や困難にどのように対処し、どういう決定をするのかはいずれの作品でも非常に考えされられるものがあったし、特にAIをテーマにした「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」の結末は私にはあっと驚くものだった。そうか、そうなるのかぁ…。

どの作品も、今のところは存在しないけど、将来はもしかしたらこういうものが実用化されるのかも? と考えさせされる設定・仕組みがおもしろい。ライフログを記録・検索するのは絶対ありそうだよな。
想像力も刺激されるし、読むにはヘビーだけど楽しい本でした。

【本】小さなチーム、大きな仕事 働き方の新しいスタンダード

この本のことは前から知っていたけど読んだことがなくて、Kindle本のセールで値下げしていたタイミングで購入しました。

この本の主題はいかにしてシンプル、迅速、臨機応変に仕事を進めていくかということ。大げさな広告や過剰な性能がなくても良い。必要なら一度決めたことを変更する必要があるかもしれない、などなど…
旧来の働き方とは正反対の、新しいワークスタイルについての本です。

私自身もずっと小さなチームどころか一人で仕事をしていて、時々はクライアントとチームを組んで作業したりアイデアを出し合ったりすることもある環境で、ここに書かれていることは大いに参考になりました。

特に「世界にささやかに貢献する」という章は、過去に自分の仕事が喜ばれた時にすごく達成感を感じたことを思い出して、これは確かに必要な体験だなと再確認できました。こういうのが仕事のやりがいになるんだろうなぁ。残念ながら私にはその経験が少なすぎるのだけど…。

それから「まずは作り始めよう」の章。
とにかく手を動かさなければ始まらない。話はそれからだ。

いつも「こういうことを試してみたらいいかな」と考えた30分後には「珍しい事じゃないし、これを面白いと思う人はいないだろう」とやる気を失ってしまうので、まずはこの本にある通り、毎日少しずつの時間を使って自分が欲しいものを作ってみよう。

book near eyeglasses and cappuccino

2019年 一番おもしろかった本

これです。

呼び出された男 スウェーデン・ミステリ傑作集 (ハヤカワ・ミステリ)

発売されたのが2017年だから新しい本ではないかもしれないけど、ずっと気になっていて、Kindleを買ったので場所も取らないぞと思って思い切って買ってみました。
本当はフジロックに行ったときに待ち時間の暇つぶしになれば…と思っていたのですが、もう一冊持っていったエッセイを読み終わらなくて、この本は秋になってから読み始めました。

それで、短編集なんだけどものすごいボリュームで実はまだ6割ぐらいしか読み終わってない。それでもすごく面白いので、もう2019年のベスト本はこれで良いです。

たぶんこの本の目玉は、タイトルにもなっているスティーグ・ラーソン(『ミレニアム』の作者)の「呼び出された男」なんだけど、それ以外の作品のほうが面白いです。
スティーグ・ラーソンの作品もちょっとしたSFっぽくて、17歳でこれ書いたのか! という驚きはあるけど、ここに収録されたそれ以外の作者のいろんな短編小説からも、少しずつ北欧の生活や風習、文化を垣間見ることができてかなり読み応えがあります。

本そのものはけっこうなページ数だけど、作品1つ1つは短いものがメインなので(一番長いのは前書きで、これは最後にしてほしかった。本編にたどり着く前に挫折しそうだった)、移動中とか寝る前に1つ1つ消化するのが最近の楽しみです。読み終わるまで頑張るぞ。

このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる/ハプワース16、1924年( J・D・サリンジャー )

確かこの本を買ったのは去年の秋だったはず…。
6月になってようやく読み終わりました。どれだけ寝かせいたのか。

前半に収録されている初期の短編群は楽しく読めたし、どれも良い作品だと思いました。
最初の二編「マディソン・アヴェニューのはずれでのささいな抵抗」「ぼくはちょっとおかしい」はライ麦畑の番外編みたいな内容で、特に後者ではホールデンとスペンサー先生とのやり取りが読めてとても楽しかったです。
ただ、それ以降の作品になるといきなり戦争の色が濃くなり、ホールデン・コールフィールドがその後どうなったのか…というところまで書かれていて(ホールデンの兄のほうがよく出てくるが)、その点は全く予想していなかったし知らなかったので、最初に読んだ時の驚きと言ったら大変なものでした。
まさか、まさか…! いや、これ以上は言う(書く)まい。

で、最後にハプワースが出てくるんですが、これが長いこと!
内容はほとんどシーモアが両親に宛てて書いた手紙なんだけど、話題が難解な上にあっちこっちに飛んだりとっ散らかったりして、ずーっと字を追ってるうちに何を読んでいるのかだんだん分からなくなって…の繰り返しで、読み終わるまでにかなりの時間を要してしまいました。
普通の人はこれ読むのにどれぐらいかかるんでしょう?

でも、もしかしたらこの作品は理解しようという努力をしないほうがいいのかもしれない。だって7歳児の手紙だし…でもなんで7歳児が処女性とか宗教について語ってるんだって気もするけど、シーモア・グラースだしな。
グラース・サーガはどの話も好きだけど、最後に出てきたのがこれかぁ。
なんとか読み終わったのはいいけど、なんか複雑な気持ちになりました。

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ナイン・ストーリーズ( J・D・サリンジャー )

私の記憶が間違っていなければ、この本を最初に読んだのは中学生の時だったと思う。
その時は確か古書店で野崎孝訳のものを購入したはずで、それはまだ私の部屋にあるのだけど、その後柴田元幸訳のものが出版されているとわかったので、もしかして新しく翻訳されたものの方が読みやすいかなと思って買ってみたのですが……

全然そんなことなかった!

いや、もしかしたら私が野崎訳に慣れすぎなのかも知れないけど、翻訳が新しくなってタイトルが変わっているものがあるせいか、目次を見てもしっくり来なかった。まあ全部読んだけど。

そして、次に驚いたのが30年ぐらい前にこの本を読んだはずなのに、全く内容を覚えていなかった!

9つの短編の中では「エズミに捧ぐ――愛と汚辱のうちに」「愛らしき口もと目は緑」が素晴らしくてとても気に入ってるのだけど、特に「愛らしき口もと目は緑」を読んでいる時「もしかしてこの隣に寝てる女って……もしかして、もしかするの!? ねえ! どっちなの!!!」みたいな気分になりまして。
1度読んだことあるのにどうして覚えてないんだ…私はそんなに忘れっぽくないはずだぞ……
その他、「テディ」って最後どうなったのよとかディンギーって何だよとか色々思う事はあるんですが、けっこう難解な箇所も多くてサーッと読み終わった感じなので、今年のうちにもう1回読み直そうかな。