【本】息吹(テッド・チャン)

何ヶ月か前のKindle本セールで買って寝かせてあったこの本をついに読む時がきた…! と思って読み始めたのは良いのだけど、読んでも読んでもKindleのホームに表示される「○○%」の数字が増えなくて一時はどうしようかと思った。実物の本だと何ページぐらいあるんだろう? きっと重い本に違いない。

今までSF作品といえば「夏への扉」とか「ニューロマンサー」ぐらいしか読んだことがなかったのだけど、テッド・チャンという人の書く世界は設定が緻密で、数学っぽい話が多くて少し宗教的な感じがするように思える。例えば「不安は自由のめまい」という作品では量子力学の考え方が元ネタ?になっているようで、最初はその設定を理解するのに少し苦戦した。

とは言ってもやはり主役は人間で、登場人物が未知の問題や困難にどのように対処し、どういう決定をするのかはいずれの作品でも非常に考えされられるものがあったし、特にAIをテーマにした「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」の結末は私にはあっと驚くものだった。そうか、そうなるのかぁ…。

どの作品も、今のところは存在しないけど、将来はもしかしたらこういうものが実用化されるのかも? と考えさせされる設定・仕組みがおもしろい。ライフログを記録・検索するのは絶対ありそうだよな。
想像力も刺激されるし、読むにはヘビーだけど楽しい本でした。